「下流社会」 | Any

「下流社会」

職場の同期に薦められ「下流社会・新たな階層集団の出現」・三浦展著・光文社新書、読みました。下流社会とは、戦後から今までの中流社会に対した言葉の様。戦後1955年体制における「一億総中流化・平等モデル」が転換し、「階層化・下流モデル」へ変わりつつあるというのが著者の主張。学問的には「消費社会論」とのこと。 今までは国の政策ですべての人が平等に中流になるように動かしてきた。国民も戦後の復興から生活の向上を目指し、何の疑問も持たず一丸となって進んできた。しかし、生活が向上し、価値観が多様化し、そういった方向性に無理が生じてきたこれからは、意欲・能力のある一部の富裕層以外は、意欲がなく下流に落ちていくといったところか。トヨタの高級ブランド「レクサス」の販売開始は、そういった社会の動きに合わせた戦略であるとの例は興味深かった。今まで客層は中流向けを意識してきたが、これからは少数だけど高額でも買ってくれる富裕層にスポットをあてたほうが全体として効率がいいのだとのこと。確かに国も、郵政民営化を筆頭に“大きな政府から小さな政府へ”“官から民へ”と方向を示している。「一億総中流化・平等モデル」の達成までで官主導での役割は終わりで、これからは「階層化・下流モデル」へ向けて民主導社会の始まりであって、その過渡期で混乱しているのが、現在問題になっている「パラサイト」だとか「ニート」だとかといったところか。そしてそういった若者に対し、豊富なデータによる階層問題の分析を示すことにより、「下流に落ちないように!」と発破を掛けるのがこの本の主旨でしょうか(?)